No.23 2003年春号 2003.3月発行

風と語ろう

光風
八ヶ岳南麓の自然に恵まれた小淵沢に住んでいると四季の移ろいを五感で触れることが出来ます。立春を過ぎるとそろそろ近隣の酒蔵が蔵開きを迎えますがこの頃はまだまだ北風が冷たく寒い日が続きます。しかし三月になるといつしか日差しはやわらかく木い香りがただよい小鳥のさえずりの中に鶯の澄んだ声が加わっています。辺りはいつの間にか春を待ちわびた木々の芽が膨らんで今か今かと出番を待っているのです。
 
香風
桜前線のニュースが話題になる頃、山梨では甲府盆地が桃源郷となります。それから新府の桃、武川実相寺の桜の便りが届き清春美術館の桜が見頃になります。この頃になると山々も頂きに雪を残すだけとなり冬の間くっきりとみえていた富士山も春霞にかすようになるのです。昨日まで何もなかった地面にも山野草や宿根草の花芽がひょっこり顔を出し日一日とその数を増していきます。日当たりの良いところではフキノトウやツクシなどが出始めやがて夕ラの芽や野カンゾウ、ノビル、ワラビといった山菜が食卓を賑わすのもこれからの季節です。都心が葉桜に変わる頃、ようやく小淵沢に遅い春が訪れます。こぶし・梅・桃そして桜がまるで相談していたかのように次々と花開き、そよぐ風はほのかに甘い香りを運んできます。家々の芝桜や桃や水仙なども所狭しと咲き乱れ、いよいよ春爛漫の時を迎えるのです。ほどなく小淵沢の天然記念物「神田のオオイト桜」が見ごろになり雪を頂いた八ヶ岳や南アルプスを背景に樹齢360年の見事な巨木を写真に収めようと大勢の観光客が訪れ、シーズンの幕が開きます。
 
薫風
風薫る五月、やがて桜は山桜へと変わり、そろそろ唐松の芽吹きです。青い空に向かって真っすぐに伸びた唐松の枝が淡いやわらかな黄緑色に染まり白樺の新芽もきらきらと光り輝いています。信玄棒道や観音平あたりの唐松林は五月中旬が見ごろでしょうか。また、この頃からレンゲツツジの群生が観音平や天女山そして美しの森などに咲き、山々を朱く彩ります。
 
湧風
南アルプスの谷間に雲が沸き立ち風に流れる六月は山野草のオンパレードです。ベニバナイチヤクソウ、ニリンソウ、サクラソウ、スズラン、クリンソウなどお花好きには見逃せません。これから長い間たくさんの山野草が楽しめます。爽やかな風に誘われ散策するとキイチゴや桑の実などがたわわに実り口に含むと甘酸っぱい味に懐かしさが広がります。そして梅雨の合間の少しむしむしする夜にはホタルの乱舞する姿が見られるようになります。数はそんなに多くなくても暗闇に青白く光るホタルはとても幻想的でいつまで見ていても見飽きることがありません。こんな夜は子供の頃に思いをはせてしまいます。
 
緑風
山梨といえば全国に知られた果物の宝庫ですが小淵沢近隣でも果物狩りが楽しめるのです。五月中旬から六月下旬までは「さくらんぼ狩り」七月中旬から八月初旬は「ブルーベリー摘み」や「いちご狩り」そして山梨の誇るぶどうや桃など採りたてを食べる醍醐味は一度味わったらやみつきになってしまいます。
小淵沢は東京から車で二時間ほどのところですが単に高速道路を使って往復するだけでは味わえない自然がたくさんあります。時には自然の中で木の温もりに触れ土の感触を味わい風の音に耳を澄ませばあなたにもきっと風の色が見えて来るでしょう。
 

大平林道 ポレポレスノーシュー 思いがけない楽しさ!

二月の小淵沢を訪れた。秋に訪れた時の鮮やかな紅葉、優しく包み込んでくれそうなその姿は冬の八ヶ岳には見られない。凛として厳しく堂々としたその雄姿、周囲には甲斐駒など南アルプス、奥秩父の山なみを一望できる「小淵沢」、こんなすばらしい景観の中に住まう人達を羨ましく思う。私の住んでいる富士市も富士山南麓に位置しこの地と南側に緩傾斜のところは似ているが、圧倒的に違うところがある。景観である。八ヶ岳を富士山と見た時、甲斐駒、奥秩父の山々は製紙工場のエントツ・・大変な違いである。10月にお世話になったペンション「わっ!」の澤さんご夫妻のお誘いを受け「大平林道・自然観察スノーシューウオーキング」に参加させていただいた。「スノーシューを履いて雪の中を散策?スノーシューってなに?」、もし女房に誘われたら即座に「お断り」・・・・寒さの苦手な私は冬、冬眠状態だからである。初めて耳にするスノーシューという言葉、西洋かんじきだと教えていただき何となく判ったような・・・。期待と寒さに対する不安を感じつつ出発、前日はぬくもりの宿「わ!」にお世話になる。当日、澤さんにお借りした「かんじき」を履いて慣れない「雪中行軍」、寒いだろうな、歩くのが大変だろうなと、歩き始める前は二人していろいろ心配をしていたが思ったほど歩きにくくなく、わざと雪の積もった誰も歩いていないところを歩く・・・。上着を1枚脱ぐほど身体も温かくなる。そのうえ野生のシカと遭遇、女房は子供のようにはしゃぎ、私も大いに楽しませて頂いた。春から秋にかけてあちこちの山登りを楽しんでいますが、これから四季折々の八ヶ岳をいろいろな角度から見てみたいと思います。当日、案内・解説をして頂いた皆様に感謝申し上げます。贅沢なひと時を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。(吉岡恒夫・かつよ様)

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